Summary Recommendations - ESRA
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Hallux Valgus Repair Surgery 2019

Summary Recommendations

PROSPECT は、臨床医に対し、公表されているエビデンスや専門家の意見に基づいて、術後疼痛への各種介入手段の賛否に関するサポート情報を提供する。臨床医は、臨床環境および地域の規制に基づいて判断を下す必要がある。言及されている薬剤については、常に地域の情報を確認しなければならない。

推奨グレード (GoR) とエビデンスのレベル (LoE)

GoR は、推奨の基礎となる総合的な LoE に従って割り当てられる。これは、エビデンスの質およびソースによって決定される:エビデンスの質およびソース、エビデンスのレベル、ならびに推奨グレード間の関係性

外反母趾は、第1中足骨頭の内側部分の隆起および母趾の外反を特徴とする一般的な足前部の変形で、一般集団での有病率は最大33%である(Torkki 2001)。外反母趾修復術は、先進国において頻繁に行われる整形外科手術で、回復に影響を及ぼす中程度から重度の術後疼痛を伴う。

本ガイドラインは、外反母趾修復術後の最善の疼痛管理のための確固たるエビデンスを医師に提供することを目的とする。外反母趾修復術後における疼痛管理に特定的な正式ガイドラインは、これまでに公表されていない。これまでの体系的な評価では、入院患者および外来患者に対する足首および足の外科手術に対する鎮痛介入のエビデンスはあったが、外反母趾修復術に特定的なものではなかった(Wang 2015)。

推奨:術前および術中介入

  • 特に明記しない限り、「術前」は外科的切開の前に適用される介入を指し、「術中」とは、切開後かつ創傷閉鎖前に適用される介入を指す
  • 鎮痛薬は適切な時間 (術前または術中) に投与し、早期回復期に十分な鎮痛を提供すべきである
パラセタモールおよび NSAID/COX-2 選択的阻害薬
  • パラセタモール(グレード D)および、NSAID(グレード A)またはCOX-2選択的阻害薬(グレード A)は、禁忌でない場合、術前または術中での開始、および術後期の継続使用を推奨する。
  • パラセタモールは手技に特定的なエビデンスが限られているが、外反母趾に対する鎮痛の有効性に特化して検討した試験は1件のみであり、300以上の症例を対象としている(Jarde 1997)。さらに、PROSPECT では、パラセタモールを基本的な鎮痛剤としており、リスク・ベネフィットが良好であると考えられている(Joshi 2019)。
全身性ステロイド薬
  • 全身性ステロイド薬は、禁忌でない場合、術前または手術直前の使用を推奨する(グレード A)。
  • 本試験ではベタメタゾン筋注および経口デキサメタゾンを用いたが、これらの作用は全身性であった。術後悪心嘔吐予防に推奨されるため、デキサメタゾン静注を推奨する(Gan 2014)。さらにデキサメタゾン静注は、アンクルブロックなどの局所鎮痛法や麻酔剤浸潤の効果を高める(Baeriswyl 2017)。
アンクルブロック
  • アンクルブロックを推奨(グレード A)
  • 局所鎮痛法の第一選択肢としてアンクルブロックを推奨し、代替として創傷浸潤を推奨する(グレード D)。
  • 本手技に特定的なアンクルブロックのベネフィットを検討した試験は2件だけであったが、いずれも重要な効果の大きさを示した(Kir 2018; Su 2019)。さらに、解剖学的標認点アンクルブロックとGAを組み合わせた場合、疼痛スコアが減少した(Needoff 1995)、前足部手術後の最初の疼痛までの時間が長くなった(Clough 2003)と結論づけたGA単独投与との比較試験が15年以上前に2件あった。
  • 局所麻酔の創傷浸潤に対するアンクルブロックの優位性を示した試験(Su 2019)は1件のだが、GAまたはSAを追加することなく手技可能であるため、アンクルブロックを支持すべきである(López 2012)。さらに、特に手術室に入る前に局所処置を行う場合では、手術室内での麻酔関連の時間も短縮される。
  • 最近の診療において超音波ガイド下でアンクルブロックと坐骨神経ブロックを適切に比較するには、更なる調査が必要である。
局所麻酔による創傷浸潤
  • 局所麻酔の単回投与による創傷浸潤を推奨する(グレード A)。
  • 局所鎮痛法の第一選択肢としてアンクルブロックを推奨し、代替として創傷浸潤を推奨する(グレード D)。

推奨:術後介入

  • 特に明記しない限り、「術後」とは、創縫合中または創縫合後に適用される介入を意味する
  • 鎮痛薬は適切な時間 (術前または術中) に投与し、早期回復期に十分な鎮痛を提供すべきである
パラセタモールおよび NSAID/COX-2 選択的阻害薬
  • パラセタモール(グレード D)および、NSAID(グレード A)またはCOX-2選択的阻害薬(グレード A)は、禁忌でない場合、術前または術中での開始、および術後の継続使用を推奨する。
  • パラセタモールは手技に特定的なエビデンスが限られているが、外反母趾に対する鎮痛の有効性に特化して検討した試験は1件のみであり、300以上の症例を対象とした(Jarde 1997)。さらに、PROSPECT では、パラセタモールを基本的な鎮痛剤としており、リスク・ベネフィットが良好であると考えられている(Joshi 2019)。
オピオイド
  • 他のアプローチが適切でない場合、オピオイドは術後のレスキュー鎮痛剤として推奨される(グレードD)

外反母趾修復術を受ける患者の疼痛管理のための総合的な推奨事項。特筆すべき点として、坐骨ブロックに関する報告では、PROSPECT の採用基準を満たしていなかったことである。

外反母趾修復術における疼痛管理の推奨事項                              

術前および術中介入
  • パラセタモール(グレード D)
  • COX-2選択的阻害薬またはNSAID(グレードA)
  • 全身性ステロイド薬(グレードA)
  • アンクルブロック(グレード A)または局所麻酔の単回投与による創傷浸潤(グレード A)第一選択肢としてアンクルブロックを推奨し、代替として創傷浸潤を推奨する(グレード D)。
術後介入
  • パラセタモール(グレード A)
  • COX-2選択的阻害薬またはNSAID(グレード A)
  • レスキュー用のオピオイド(グレード D)