Summary Recommendations - ESRA
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Oncological Breast Surgery 2019

Summary Recommendations

PROSPECT は、臨床医に対し、公表されているエビデンスや専門家の意見に基づいて、術後疼痛への各種介入手段の賛否に関するサポート情報を提供する。臨床医は、臨床環境および地域の規制に基づいて判断を下す必要がある。言及されている薬剤については、常に地域の情報を確認しなければならない。

推奨グレード (GoR) とエビデンスのレベル (LoE)

GoR は、推奨の基礎となる総合的な LoE に従って割り当てられる。これは、エビデンスの質およびソースによって決定される:  エビデンスの質およびソース、エビデンスのレベル、ならびに推奨グレード間の関係性

腫瘍性乳房手術(以下 「乳房手術」 という)は著しい急性および慢性術後疼痛(Vadivelu 2008)と関連する。系統的レビューは 2006 年に PROSPECT 共同研究によって実施された(PROSPECT ウェブサイトに保管:非美容乳房手術2006)。しかしながら、いくつかの新たな鎮痛レジメン、特に局所鎮痛法が(Elsharkawy 2018)以来導入されている。乳癌に特化した鎮痛介入に関する最新の系統的レビューが必要とされた。

推奨:術前および術中介入

  • 特に明記しない限り、「術前」は外科的切開の前に適用される介入を指し、「術中」とは、切開後かつ創傷閉鎖前に適用される介入を指す
  • 鎮痛薬は適切な時間 (術前または術中) に投与し、 早期回復期に十分な鎮痛を提供すべきである
乳房の小手術 乳房の大手術
パラセタモールおよび NSAID/COX-2 選択的阻害薬 パラセタモールおよび NSAID/COX-2 選択的阻害薬
  • パラセタモール(グレード B)および NSAID(グレード A)または特異的 COX‐2 阻害薬(グレード B)は、乳房の小手術および大手術に推奨され、術前または術中に投与し、禁忌がない限り手術後も継続投与する。
  • NSAID(グレード A)の使用については、最近のデータはないものの、2006 年以前の乳房手術(Chan 1996Priya 2002)、において実施された研究により支持されている。
  • これらの鎮痛薬の鎮痛効果およびオピオイド節約効果については、(Martinez 2017Ong 2010)にはっきりと記載されている。
ガバペンチン ガバペンチン
  • 術前ガバペンチンは、術後疼痛スコアならびにオピオイド消費を減少させることが明らかになっているため、乳房の小手術および大手術に推奨される(グレード A)。ただし、高用量投与には副作用を誘発する可能性があるため、外来患者に対しては特に注意が必要となる。
  • 術前プレガバリンは、実際の疼痛緩和が 24 時間持続しないため、推奨されない。
デキサメタゾン デキサメタゾン
  • デキサメタゾンの単回静脈内投与は、鎮痛薬の使用およびPONVの発生率を低下させると同時に、追加の疼痛緩和をもたらすため、乳房の小手術および大手術に推奨される(グレードB)。
局所創傷浸潤麻酔(乳房の小手術) PVB (乳房の大手術)
  • 創傷浸潤 LA は、一定時間の術後鎮痛を提供するが、軽度から中等度の侵襲性手術(例えば、乳腺腫瘤摘出術および乳房部分切除術)(グレード A)が予定されている患者では考慮すべきである。
  • これら手術の術後疼痛は一般的には軽度から中等度であり、疼痛強度は術後最初の数日で低下する。
  • PVBは乳房の大手術(例えば、腋窩リンパ節郭清併用または非併用下での乳房切除術)に対し第一選択の局所鎮痛法として推奨される(グレードA)
  • 研究により、本介入の関連性が実証されたものを以下に列記する:術後疼痛スコアの減少、全身性鎮痛薬の消費量減少、PONV の減少、改良された回復プログラムに沿っていないにも関わらずGA単独時よりも短期間となる入院
 
  • カテーテルが留置されている場合(グレード B)は、乳房の大手術において持続 PVB を考慮すべきである
  • PVB の単回投与は、複数回投与法または傍脊椎カテーテル留置と比較した場合、施行時間が短く、かつ労力も少ない
  • 一部の研究では、持続 PVB の施行後に機能的転帰の改善ならびに重度の慢性疼痛の軽減が報告されている
  • これらの研究では、遂行された集学的鎮痛プログラムにおいて「基本の」非オピオイド鎮痛薬(すなわち、パラセタモール、NSAID、COX-2 選択的阻害薬)が使用されていないため、その所見は慎重に解釈すべきである
  • 費用効果分析では、持続 PVB のコスト高が報告されている(Offodile, 2017)。しかしながら、これらの費用は入院期間の短縮によって相殺される(Terkawi 2015Abdallah 2014Fallatah 2016Mohta 2016)
  • PVB は腋窩(すなわち、T1神経分布)に対する十分な鎮痛効果の確実性が劣るため(Pawa 2018)、局所創傷浸潤麻酔の補充はこれらの症例に有益となり得る
PECSブロック(乳房の大手術)
  • PECSブロックは、腋窩リンパ節郭清を実施しない場合またはPVBが禁忌である場合(グレードA)に、乳房の大手術に推奨されるが、データが限られており、解剖学上腋窩に十分な鎮痛を与えることはできない。
  • PECS‐1、PECS‐2および前鋸筋面ブロックの選択の指針となるエビデンスは限られている。 
局所創傷浸潤麻酔(乳房の大手術)
  • 創傷浸潤LAは、乳房の大手術(グレードA)における局所鎮痛法に追加される場合がある。
  • PECSブロックおよびPVBが腋窩(すなわち、T1神経分布)に適切な鎮痛をもたらさない場合は、創傷浸潤LAを考慮に入れることができる。

推奨:術後介入

  • 特に明記しない限り、「術後」とは、創縫合中または創縫合後に適用される介入を意味する
  • 鎮痛薬は適切な時間 (術前または術中) に投与し、 早期回復期に十分な鎮痛を提供すべきである
乳房の小手術 乳房の大手術
パラセタモールおよび NSAID/COX-2 選択的阻害薬 パラセタモールおよび NSAID/COX-2 選択的阻害薬
  • パラセタモール(グレード B)および NSAID(グレード A)または特異的 COX‐2 阻害薬(グレード B)は、乳房の小手術および大手術に推奨され、術前または術中に投与し、禁忌がない限り手術後も継続投与する。
  • NSAID(グレード A)の使用については、最近のデータはないものの、2006 年以前の乳房手術(Chan 1996Priya 2002)、において実施された研究により支持されている。
  • これらの鎮痛薬の鎮痛効果およびオピオイド節約効果については、(Martinez 2017Ong 2010)にはっきりと記載されている。
オピオイド オピオイド
  • オピオイドは、術後の救助鎮痛に推奨される(グレード B)。
  持続 PVB (カテーテルが留置されている場合)(乳房の大手術)
  • カテーテルが留置されている場合(グレード B)は、乳房の大手術において持続 PVB を考慮すべきである
  • PVB の単回投与は、複数回投与法または傍脊椎カテーテル留置と比較した場合、施行時間が短く、かつ労力も少ない
  • 一部の研究では、持続 PVB の施行後に機能的転帰の改善ならびに重度の慢性疼痛の軽減が報告されている
  • これらの研究では、遂行された集学的鎮痛プログラムにおいて「基本の」非オピオイド鎮痛薬(すなわち、パラセタモール、NSAID、COX-2 選択的阻害薬)が使用されていないため、その所見は慎重に解釈すべきである
  • 費用効果分析では、持続 PVB のコスト高が報告されている(Offodile, 2017)。しかしながら、これらの費用は入院期間の短縮によって相殺される(Terkawi 2015Abdallah 2014Fallatah 2016Mohta 2016)
  • PVB は腋窩(すなわち、T1神経分布)に対する十分な鎮痛効果の確実性が劣るため(Pawa 2018)、局所創傷浸潤麻酔の補充はこれらの症例に有益となり得る

非美容乳房手術を受ける患者における疼痛管理のための総合的な推奨事項。