Summary Recommendations - ESRA
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Laparoscopic Sleeve Gastrectomy 2018

Summary Recommendations

PROSPECTは、臨床医に対し、公表されているエビデンスや専門家の意見に基づいて、術後疼痛への各種介入手段の賛否に関するサポート情報を提供する。臨床医は、臨床環境および地域の規制に基づいて判断を下す必要がある。言及されている薬剤については、常に地域の情報を確認しなければならない。

推奨グレード (GoR) とエビデンスのレベル (LoE)

GoRは、推奨事項の基盤となる総合的なLoEに従って割り当てられる。LoE はエビデンスの質とソースにより決定される。エビデンスの質とソース、エビデンスの水準と推奨事項グレードの関係。

スリーブ状胃切除術に対する腹腔鏡のアプローチは、開腹手術と比較した場合、術後疼痛の減少、死亡率の減少、早期回復、および入院期間の短縮に関連すると考えられている。

推奨事項:術前および術中介入

  • 特に明記しない限り、「術前」は外科的切開の前に適用される介入を指し、「術中」とは、切開後かつ創傷閉鎖前に適用される介入を指す。
  • 鎮痛薬は適切な時間 (術前または術中) に投与し、早期回復期に十分な鎮痛を図るべきである。
パラセタモールおよびNSAID/COX-2選択的阻害薬
  • LSGの周術期疼痛管理は、パラセタモール (Grade A) および禁忌でない限り、NSAID/COX-2選択的阻害薬を術前または術中から投与し、術後も継続することが推奨される。
  • パラセタモールおよびNSAIDs/COX-2選択的阻害薬の使用を裏付ける処置固有ののエビデンスは限られていたが、これら非オピオイドの鎮痛効果については十分な報告がある。これらは一般鎮痛薬と考えられている。
低用量デキサメタゾン静注単回投与
  • 鎮静剤使用を低減することができ、制吐剤として作用することから (LoE 1)、低用量デキサメタゾン静注単回投与が推奨される (Grade A)。
  • ある処置固有の研究において鎮痛効果 (LoE 1) が報告されているのみだが、デキサメタゾンの制吐効果は十分に確立されており、LSGにおいてメリットがある可能性が高い。
パラセタモールおよび/もしくはNSAIDが投与できない場合はガバペンチノイド。
  • パラセタモールやNSAID/COX-2選択的阻害薬等の「一般的」な鎮痛薬が投与できない場合、ガバペンチノイドの慎重投与を検討してもよい。 (Grade A)
  • これは処置固有の研究 (LoE 1) における鎮痛効果のエビデンスに基づく推奨だが、これらの研究における投与量にはばらつきがあり、特に肥満患者や閉鎖性睡眠中無呼吸患者において (Joshi 2012)、ガバペンチノイドがオピオイド誘発性呼吸抑制を強める (Cavalcante 2017)可能性があるため、注意が必要である。
ポート部位浸潤を考慮してもよい。
  • 処置固有のエビデンスは限られているが、ポート部位浸潤を検討してもよい (Grade D)。ポート部位浸潤は適切な身体的遮断が得られ、簡単で、費用のかからない方法であるため、TAP (腹横筋膜面) ブロックより好まれる。

推奨事項:手術後介入

  • 特に明記しない限り、「術後」とは、創縫合中または創縫合後に行われる介入を意味する。
  • 鎮痛薬は適切な時間 (術前または術中) に投与し、早期回復期に十分な鎮痛を図るべきである。
パラセタモールおよびNSAIDs/COX-2選択的阻害薬
  • LSGに対する周術期疼痛管理にはパラセタモール (Grade A) を利用し、さらに禁忌でない限り、NSAID/COX-2選択的阻害薬を術前または術中から投与し、術後期も継続することが推奨される。
  • パラセタモールおよびNSAIDs/COX-2選択的阻害薬の使用を裏付ける処置固有のエビデンスは限られていたが、これら非オピオイドの鎮痛効果については十分な報告がある。これらは一般鎮痛薬と考えられている
レスキューオピオイド
  • パラセタモール術後 (Grade A) 継続投与後さらに禁忌でない限りNSAID/COX-2選択的阻害薬の投与後のオピオイドがレスキュー鎮痛として推奨されいる

推奨されない介入

腹横筋膜面 (TAP) ブロック
  • 鎮痛効果が報告されているが、最適な治療が確立されておらず、腹腔鏡手術での使用が疑問視されているため (Kehlet 2015) 、TAPブロックは推奨されない (Grade D)。
α2アドレナリン作動薬
  • 処置固有の鎮痛ベネフィット (LoE 4) に関するエビデンスが限定的かつ一貫性がなく、鎮痛効果および降圧効果に対する懸念があるため、デクスメデトミジン等のα2アドレナリン作動薬は推奨されない (Grade D)。
硫酸マグネシウム
  • ある処置固有の研究において、パラセタモールやNSAIDを含む最適なマルチモーダル鎮痛との関連において鎮痛効果は評価されておらず、筋麻痺の悪化および後麻痺の出現増加に対する懸念があるため (Thevathasan 2017)、硫酸マグネシウムは推奨されない (Grade D)。
腹腔内局所麻酔剤注入
  • ある処置固有の研究において鎮痛効果が見られなかったため、腹腔内局所麻酔剤注入は推奨されない (Grade D)。
単一ポートアプローチ
  • エビデンスが限られており、その結果に一貫性がないため、単一ポートアプローチは推奨されない (Grade B)。

禁忌でない限り、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の周術期疼痛治療には以下が含まれるべきである:

術前および術中期
  • パラセタモール (Grade A)
  • NSAIDまたはCOX-2選択的阻害薬 (Grade A)
  • 低用量デキサメタゾン静注単回投与 (Grade A)
  • パラセタモールおよび/もしくはNSAID/COX-2選択的阻害薬が投与できない場合はガバペンチノイド (Grade A)
術後期
  • パラセタモール (Grade A)
  • NSAIDまたはCOX-2選択的阻害薬 (Grade A)
  • レスキューオピオイド (Grade A)